
不動産売却で起こりやすいトラブルとは?買主・不動産会社との注意点を解説
不動産売却で起こりやすいトラブルとは?買主・不動産会社との注意点を解説
この記事の概要
不動産の売買では、売る側も買う側もできるだけトラブルを避けたいものです。 特に不動産売却では、「高く」「早く」売ることだけでなく、「安全に」取引を完了させることも重要です。
不動産取引をめぐる紛争は決して珍しいものではなく、小さな認識の違いや説明不足が大きな問題に発展することもあります。
この記事では、不動産売却で特に注意したいトラブルとして、次の4つを解説します。
- 契約不適合責任
- 境界トラブル
- 販売報告義務に関するトラブル
- 情報の囲い込み
売却後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、あらかじめ注意点を確認しておきましょう。
買主との間で起こりやすい不動産売却トラブル
不動産売却では、売買契約を締結して物件を引き渡せばすべて終わりとは限りません。
引き渡した物件が契約内容と異なっていたり、土地の境界について認識の違いがあったりすると、売却後に買主とのトラブルへ発展する可能性があります。
特に注意したいのが「契約不適合責任」と「境界」の問題です。
契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、引き渡した不動産の種類・品質・数量などが契約内容に適合していない場合に、売主が負う可能性のある責任です。
たとえば、中古住宅を売却した後に、契約内容と異なる不具合が見つかった場合などが考えられます。
状況によっては、買主から修補などの追完を求められたり、代金減額や損害賠償、契約解除などの問題へ発展したりする可能性があります。
売主が注意したいポイント
売主が把握している不具合や修繕履歴などについては、売却前に不動産会社へ正確に伝えておくことが重要です。
「これくらいなら言わなくても大丈夫だろう」と自己判断せず、小さな不具合についても共有し、必要な事項は書面に残しておくとトラブル防止につながります。
契約不適合責任で問題になりやすい例
- 雨漏り
- 給排水設備の不具合
- シロアリ被害
- 建物の腐食や損傷
- 過去の修繕・補修に関する情報
- 契約時に説明されていなかった設備の不具合
中古住宅では経年劣化があること自体は珍しくありません。 重要なのは、物件の状態をできる限り把握し、その内容を契約条件や告知内容に適切に反映させることです。
土地・中古住宅で注意したい境界トラブル
土地や中古住宅の売却では、隣地との「境界」が問題になることがあります。
売却する土地の範囲が曖昧な状態では、買主が安心して購入を判断できません。 そのため、必要に応じて測量などを行い、境界を確認することが重要です。
境界確認がスムーズに進まないケースもある
境界を明確にする際には、土地家屋調査士などの専門家による測量や、隣接する土地の所有者との確認が必要になることがあります。
しかし、隣地所有者と意見が一致しない、遠方に住んでいて連絡が取りにくいなどの事情により、確認に時間がかかるケースがあります。
また、古くから存在する土地では、過去の測量と現在の測量の違いなどによって、認識していた境界と現況に差が生じる場合もあります。
境界問題は早めに不動産会社へ伝える
隣地との境界について少しでも不安がある場合は、売却活動を始める段階で不動産会社へ伝えておきましょう。
売却が進んでから境界問題が発覚すると、取引スケジュールの遅延や、買主との条件調整につながる可能性があります。
不動産会社との間でもトラブルが起こることがある
不動産売却のトラブルは、買主との間だけで発生するとは限りません。 売却を依頼した不動産会社との間で問題が起こることもあります。
特に知っておきたいのが、販売活動の報告に関する問題と「囲い込み」です。
不動産会社へ売却を依頼する際は、査定価格の高さだけでなく、どのような販売活動を行うのか、活動状況をどのように報告してくれるのかも確認しておくことが大切です。
販売活動の報告に関するトラブル
不動産会社と媒介契約を結んだ場合、契約の種類によっては、不動産会社に販売活動の状況を売主へ定期的に報告する義務があります。
専属専任媒介契約の場合
専属専任媒介契約では、不動産会社は売主に対して、原則として1週間に1回以上、業務の処理状況を報告する必要があります。
専任媒介契約の場合
専任媒介契約では、原則として2週間に1回以上、業務の処理状況を報告する必要があります。
報告方法は契約内容に基づき、書面や電子メールなどで行われます。
販売報告で確認したい内容
- どのような広告活動を行ったか
- 問い合わせは何件あったか
- 内覧や見学はどの程度あったか
- 購入希望者からどのような反応があったか
- 今後どのような販売活動を行う予定か
販売活動の報告が十分でなければ、売主は「本当に販売活動をしているのか」「問い合わせが来ているのか」を把握できません。
報告がほとんどない、質問しても販売状況が明確に説明されないといった場合は、担当者へ確認することが大切です。
注意したい「囲い込み」とは
不動産売却における「囲い込み」とは、売却の媒介を依頼された物件について、他の不動産会社から購入希望者を紹介できる可能性があるにもかかわらず、情報提供や紹介を妨げ、自社で取引を完結させようとする行為などを指します。
通常、不動産会社が専任媒介契約や専属専任媒介契約で売却を受託した場合、指定流通機構(レインズ)への登録義務があります。
レインズへ物件情報を登録することで、他の不動産会社も物件情報を確認でき、それぞれが抱えている購入希望者へ物件を紹介しやすくなります。
通常の不動産流通
通常は、売却を依頼された不動産会社だけでなく、他の不動産会社からも購入希望者を紹介してもらうことで、より広い範囲から買主を探すことができます。
売主にとっては、購入希望者と出会える機会が増えるため、円滑な売却につながりやすくなります。
囲い込みが行われるとどうなる?
物件情報が適切に共有されなかったり、他社からの購入希望者の紹介を不当に妨げられたりすると、買主候補が限定されてしまいます。
その結果、本来であれば購入を検討してくれた可能性のある人へ物件情報が届かず、売却期間が長引いたり、条件を下げなければ売れなくなったりする可能性があります。
売主にとって囲い込みが問題となる理由
- 購入希望者へ物件情報が届く機会が減る
- 売却期間が長期化する可能性がある
- 適正な条件で売却できる機会を失う可能性がある
- 値下げが必要だと判断される可能性がある
なぜ囲い込みが起こるのか
不動産会社が売主から売却の媒介を受けた場合、売買契約が成立すると売主から仲介手数料を受け取ります。
一方、その不動産会社が自社で買主も見つけた場合には、条件を満たす範囲で売主・買主双方から仲介手数料を受け取る形になることがあります。一般に「両手仲介」と呼ばれる取引です。
他の不動産会社が買主を見つけた場合は、売却を担当する会社が売主側、購入を担当する会社が買主側からそれぞれ仲介手数料を受け取る形が一般的です。
両手仲介そのものが直ちに問題になるわけではありません。 問題となるのは、自社で買主を見つけて双方から仲介手数料を得ることを優先し、他社による正当な紹介を妨げるような行為です。
囲い込みで見られる代表的なケース
囲い込みには、売主からは気づきにくい方法が使われることがあります。 代表的なケースを確認しておきましょう。
1.レインズへ適切に登録しない
専任媒介契約や専属専任媒介契約では、一定期間内にレインズへ物件情報を登録する義務があります。
必要な登録が行われなければ、他の不動産会社が物件情報を確認できず、購入希望者へ紹介する機会が失われる可能性があります。
2.登録後すぐに情報を削除する
一度レインズへ登録しても、その後不適切に情報を削除するなどして、他の不動産会社から物件情報を確認しにくくするケースも問題となります。
3.「すでに話が入っている」などとして紹介を妨げる
他の不動産会社から物件確認の問い合わせがあった際、実際には紹介できる状態であるにもかかわらず、「すでに申し込みが入っている」などとして紹介を妨げる行為が問題になることがあります。
このような対応が行われると、表面上は物件を販売しているように見えても、実際には他社からの購入希望者を受け付けていない状態になりかねません。
4.販売資料を理由に紹介を遅らせる
「現在、販売資料を作成している」などの理由で、他社からの問い合わせへの対応を不当に遅らせるようなケースも注意が必要です。
特に購入希望者が多い地域では、紹介のタイミングが遅れることで売却機会を失う可能性があります。
5.他社が紹介しにくい環境をつくる
情報自体は公開していても、他社が購入希望者へ物件を紹介しにくい状態を意図的につくるケースも考えられます。
たとえば、空き家の鍵の管理方法などによって内覧までに不必要な時間がかかる状態では、「すぐに見学したい」という購入希望者を逃してしまう可能性があります。
不動産売却のトラブルを防ぐためのポイント
不動産売却では、売主自身が最低限の知識を持っておくこともトラブル防止につながります。
売却前に確認しておきたいこと
- 物件の不具合や修繕履歴を整理する
- 隣地との境界に問題がないか確認する
- 媒介契約の種類と内容を確認する
- レインズへの登録条件を確認する
- 販売活動の報告を定期的に確認する
- 問い合わせや内覧の状況を確認する
- 値下げを提案された場合は理由を確認する
特に、不動産会社から「問い合わせがありません」「価格を下げたほうがよい」と提案された場合は、その理由やこれまでの販売活動について具体的に確認するとよいでしょう。
査定価格だけで不動産会社を選ぶのではなく、販売方法や報告体制、担当者の説明内容なども含めて判断することが大切です。
まとめ
不動産売却では、契約不適合責任や境界問題など、買主との間でトラブルが発生する可能性があります。
また、不動産会社との関係では、販売活動の報告や物件情報の囲い込みなどにも注意が必要です。
こうした問題の中には、事前に物件の状態や境界を確認したり、媒介契約や販売活動について理解したりすることで防ぎやすくなるものもあります。
不動産会社へ売却を任せきりにするのではなく、売主自身も販売状況を把握し、疑問点があれば担当者へ確認することが重要です。
不動産売却では、価格の高さや売却までの早さだけでなく、安全に取引を完了できるかという視点も大切にしましょう。
