
高齢の親が自宅を売却するときに知っておきたいポイント
高齢の親が自宅を売却するときに知っておきたいポイント
この記事の概要
高齢の親が住んでいる自宅を売却する理由として多いのが、「できれば子どもの近くに住んでほしい」「高齢者施設への入居を検討している」といったケースです。
一方で、住宅ローンが残っている場合や、売却までの内覧対応が負担になる場合など、高齢者ならではの注意点もあります。
この記事では、高齢の親が自宅を売却するときに確認したい住宅ローンの扱いや、一般売却と買取の違い、施設入居時の資金計画について解説します。
住宅ローンが残っている場合
高齢の親が所有する自宅に住宅ローンが残っている場合は、売却価格と住宅ローン残高の関係を最初に確認する必要があります。
通常、不動産を売却して買主へ引き渡すためには、住宅ローンを完済し、金融機関が設定している抵当権を抹消しなければなりません。
そのため、基本的には次の金額を確保できることが重要です。
売却価格 > 住宅ローン残高 + 売却に必要な諸費用
売却代金だけで住宅ローン残高や諸費用をまかなえない場合は、不足分を自己資金で用意する必要があります。
売却前に住宅ローン残高を確認する
住宅ローンが残っているかどうか分からない場合は、金融機関から届く返済予定表や残高証明書などを確認しましょう。
残高が分かったら、不動産会社へ査定を依頼し、売却できそうな価格と比較します。
売却価格が住宅ローン残高を十分に上回っていれば、通常の売却を進めやすくなります。 一方、住宅ローン残高が査定価格を上回る場合は、自己資金の準備など別の方法を検討する必要があります。
高齢の親の自宅を売却する方法
高齢の親が自宅を売却する場合、大きく分けて「一般の購入希望者へ売却する方法」と「不動産会社へ直接買い取ってもらう方法」があります。
どちらが適しているかは、売却価格を優先するのか、手続きの負担や売却スピードを優先するのかによって異なります。
一般の購入希望者へ売却する場合
一般売却では、不動産会社が広告を出し、購入希望者を探します。 市場価格に近い金額で売却できる可能性が高いことがメリットです。
ただし、購入希望者が現れるまでの期間は確定していません。 早ければ数週間で売却できる場合もありますが、条件によっては半年から1年以上かかるケースもあります。
また、居住中の家を販売する場合は、購入希望者が室内を見学する「内覧」への対応が必要です。
内覧のたびに掃除や片付けを行い、日程を調整する必要があるため、高齢の方にとって大きな負担になることがあります。
不動産会社による買取という選択肢
売却にかかる手間や期間をできるだけ減らしたい場合は、不動産会社による「買取」を検討する方法があります。
買取とは、不動産会社が買主となって直接物件を購入する売却方法です。 一般の購入希望者を探す販売活動が必要ないため、条件が合えば短期間で売却できます。
特に、高齢の親が内覧対応を負担に感じる場合や、施設への入居時期が決まっている場合などは、検討しやすい方法です。
買取のメリットとデメリット
買取の主なメリット
- 一般の購入希望者への内覧対応を何度も行う必要がない
- 片付けが十分に終わっていない状態でも相談できる場合がある
- 雨漏りやシロアリなど、建物に不具合があっても相談しやすい
- 広告による販売活動を行わないため、周囲に知られにくい
- 査定から売却代金の受け取りまで比較的早く進められる
- 引き渡し時期について相談しやすい
- 不要な家具や家電を残したまま引き渡せる場合がある
特に高齢の方にとっては、何度も内覧者を迎えたり、売却のために家全体を整理したりする負担を軽減できる点は、買取の大きなメリットです。
買取のデメリット
一方で、買取では一般の購入希望者へ売却する場合と比べて、売却価格が低くなる傾向があります。
不動産会社は、購入した物件に必要な修繕やリフォームなどを行ったうえで再販売することがあるため、それらの費用やリスクを考慮して買取価格を決定します。
そのため、少しでも高い価格で売却することを最優先するのであれば、一般売却のほうが適している場合があります。
一般売却と買取のどちらを選ぶべきかは、売却価格だけで判断するのではなく、親の体力や売却までにかけられる期間、内覧対応の負担なども含めて検討することが大切です。
高齢者施設への入居を考えている場合
高齢の親が自宅を売却する理由のひとつに、高齢者施設への入居があります。
施設へ入居する際には、入居一時金などまとまった資金が必要になる場合があります。そのため、自宅を売却して施設への入居費用を確保することを検討するケースもあります。
しかし、自宅を売却してから施設へ移る場合、売却と入居のタイミングを慎重に調整しなければなりません。
売却後も一定期間住み続けられる場合がある
不動産会社による買取では、条件によっては売却後すぐに退去するのではなく、一定期間その家に住み続けられるよう相談できる場合があります。
たとえば、自宅の売却代金を受け取ってから施設への入居費用を支払い、実際に施設へ移るまでの期間は元の自宅で生活するといった方法です。
こうした方法を利用できれば、「施設へ支払う資金を用意するためには自宅を売却する必要があるものの、自宅を売ってしまうと入居まで住む場所がなくなる」という問題を解消しやすくなります。
ただし、売却後に住み続けられる期間や条件は取引内容によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
できれば親の近くに住んでほしい場合
高齢になった親について、「離れて暮らすのが心配なので、できれば自分たちの近くへ引っ越してほしい」と考えるご家族も少なくありません。
この場合、新しい住まいを先に確保する方法と、現在の自宅を売却してから新居を購入する方法があります。
現在の自宅の売却資金を使わずに新居へ入居する場合
資金的に余裕がある場合は、新しい住まいを先に購入または借りて、引っ越しを済ませてから現在の自宅を売却する方法があります。
先に新居へ移ることで、空き家となった自宅を売却できるため、内覧の日程調整などの負担を減らしやすくなります。
また、家具や生活用品が少なくなった状態で室内を見せられるため、購入希望者が家の広さや状態を確認しやすくなる場合もあります。
一方で、売却が完了するまでは新居と旧居の両方に関する費用が発生する可能性があります。固定資産税や管理費なども含め、資金計画を立てておくことが重要です。
現在の自宅の売却資金を使って新居へ入居する場合
現在の自宅を売却した資金で新居を購入する場合は、売却と新居の引き渡し時期を調整する必要があります。
たとえば、新居の売主と相談し、現在の自宅が売却できるまで引き渡し時期を一定期間待ってもらう方法があります。
その間に現在の自宅を一般の購入希望者へ売却し、売却代金を新居の購入資金に充てます。
売却期間が長引くリスクに注意
現在の自宅が予定していた期間内に売却できるとは限りません。
新居の引き渡し期限までに買主が見つからなければ、新居の購入計画に影響する可能性があります。
また、新居の売主が長期間の引き渡し猶予に応じてくれるとは限りません。売却が長期化する可能性も考え、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
期限内に売却できなかった場合に備えて、一定期間は一般売却を行い、買主が見つからなければ不動産会社が買い取る方法などを検討することもできます。
一般売却と買取の査定価格を比較する
高齢の親の自宅を売却するときは、最初から一般売却または買取のどちらか一方に決めてしまう必要はありません。
まずは、それぞれの場合にどの程度の価格で売却できそうなのか確認してみるとよいでしょう。
一般の購入希望者へ売却する場合の査定価格と、不動産会社による買取価格の両方を確認すると、価格差を把握したうえで売却方法を比較できます。
一般売却は、買取より高く売れる可能性がある一方、実際にその価格で売れることが保証されているわけではありません。
査定価格はあくまで「この程度の価格で売却できる可能性がある」という目安です。販売を始めたあとに購入希望者が現れなければ、価格を見直すこともあります。
一方、買取は一般売却より価格が低くなる傾向がありますが、条件がまとまれば売却価格や売却時期を早い段階で確定しやすいという特徴があります。
そのため、単純に査定額の高い方法を選ぶのではなく、売却までの期間や手間、親の体調、住み替えの予定などを含めて比較することが大切です。
高齢の親の自宅売却では本人の意思確認も重要
高齢の親が所有する不動産を売却する場合、家族だけで売却を決められるわけではありません。
不動産の所有者が親であれば、原則として親本人の意思に基づいて売買契約などの手続きを進める必要があります。
特に高齢になると、健康状態や判断能力の変化によって、不動産売却の手続きが難しくなるケースがあります。
「将来的には自宅を売却する可能性がある」という場合は、親が元気なうちから家族で今後の住まいや不動産の扱いについて話し合っておくことが重要です。
判断能力に不安がある場合には、状況によって成年後見制度などの検討が必要になることもあります。具体的な手続きについては、司法書士や弁護士などの専門家へ確認すると安心です。
まとめ
高齢の親が自宅を売却するときは、単に「いくらで売れるか」だけでなく、親の生活や体力、今後の住まいまで含めて考えることが大切です。
住宅ローンが残っている場合は、まずローン残高と査定価格を確認しましょう。施設への入居や子どもの近くへの住み替えを予定している場合は、売却代金を受け取る時期と新居へ移る時期の調整も必要です。
一般売却は市場価格に近い金額で売れる可能性がある一方、売却まで時間がかかったり、内覧対応が必要になったりすることがあります。
買取は一般売却より売却価格が低くなる傾向がありますが、売却までの期間を短縮しやすく、内覧や片付けなどの負担を軽減できる可能性があります。
高齢の方にとって、不動産売却は金銭面だけでなく精神面・体力面でも大きな負担になることがあります。
売却価格、売却までの期間、住み替え先、親本人の希望などを整理し、それぞれの家庭に合った方法を選ぶことが重要です。



